78本目
バーガータイム(1985年11月27日/ファミコン)— 開発秘話・当時の小ネタ全部載せ
ハンバーガーを、踏んで作る。1985年、意味がわからないまま夢中だった「バーガータイム」
🎮 バーガータイム(1985年11月27日/ファミコン) を覚えてる?
『バーガータイム』とは? 発売日・スペック早見
| 発売日 | 1985年11月27日 |
|---|---|
| 機種 | ファミコン |
| 発売元 | ナムコ |
『バーガータイム』の開発秘話——真相はこうだった
コックさんが、巨大なバンズの上を歩く。踏むと落ちる。全部落とすと、ハンバーガーが完成する。追ってくるのはウインナーと目玉焼きとピクルス。武器はコショウ。ジャンプはできない。
……冷静に文字にすると、かなりおかしい。でも、あの頃は誰も疑問に思わなかった。
なぜ武器が「コショウ」なのか
主人公の名前は、ピーターペッパー。ペッパー=コショウ。ダジャレだと思っていた人、半分正解です。
英語圏には、こんな早口言葉があります。
Peter Piper picked a peck of pickled peppers. (ピーター・パイパーは、酢漬けのコショウをひと山つんだ)
1813年に活字になった、英語で最も有名な早口言葉のひとつ。Pの音だけで押し切る、あの舌が絡むやつです。ゲーム文化保存研究所によれば、ピーターペッパーの名は、この「ピーター・パイパー」が元ネタとされています。
そして、この一行をもう一度読んでみてください。
pickled peppers。
……ピクルスと、コショウが、両方入っている。
主人公の名前(ピーターペッパー)。武器(コショウ=ペッパー)。そして敵(ピクルス)。ゲームの中心にある三つの要素が、たった一行の早口言葉にぜんぶ揃っている。
偶然だと思いますか?
この作品、ナムコのゲームではない
カセットには「namcot」のロゴ。でも権利表記は「©1985 DATA EAST CORP. / NAMCO LTD.」。
原作は1982年、データイーストのアーケードゲームです。しかも当時の日本での題名は『バーガータイム』ではなく、『ハンバーガー』でした。
海外に持っていくとき、商標上の問題で『バーガータイム』に改題。北米ではバリー・ミッドウェイが稼働させ、これが大ヒット。そのまま名前ごと日本に逆輸入されて、以後は国内の移植版もすべて『バーガータイム』で統一されることになりました。
つまりファミコン版のタイトルは、海を一周して帰ってきた名前です。
ちなみに1985年に電波新聞社から出たパソコン移植版だけは、旧題の『ハンバーガー』のまま。ここだけ、逆輸入前の名前が生き残りました。
さらにややこしいのが、1988年9月23日に出たディスクシステム版。こちらは発売元がデータイースト自身です。同じゲームなのに、カセットはナムコ、ディスクはデータイースト。タイトル画面のロゴと版権表示だけが違う。
当時のナムコは、他社が作ったゲームを自社ブランドで出すことがありました。『カルノフ』も『ザ・ビッグプロレスリング』も、元はデータイーストのアーケード作品です。あの黄色いnamcotのカセットの中身は、思っているより雑多でした。
敵には、ちゃんと名前がある
ウインナー、目玉焼き、ピクルス——ではありません。
ミスターホットドッグ。ミスターエッグ。ミスターピクル。
海外版のパッケージや説明書に、はっきり書かれています。あの追いかけっこは、名前のある三人との攻防だったわけです。
コショウを増やしてくれるアイテムの正体
ステージ中にときどき現れるボーナスアイテム。取るとスコアが入り、コショウが1回分増える。
なのに、どう見てもコーヒーカップなんですよね。アイスクリームだったり、コーヒーだったり。コショウ瓶は一度も出てきません。カフェイン補給でコショウが増える。この理屈は、いまだに誰も説明していません。
踏まれるハンバーガー
バンズ、レタス、チーズ、トマト、パティ。踏んで落として、皿の上で重ねる。「ハンバーガーを土足で踏み歩くのは不衛生だ」「変な生物が挟まったバーガーを食わせる気か」——このゲームは、昔からさんざんツッコまれてきました。でもそれは、それだけ愛されてきたということでもあります。
ちなみに1982年のアーケード版は「デコカセットシステム」という、テープを差し替えてゲームを入れ替える方式の基板で動いていました。改題のタイミングで、専用ROM基板としてリニューアル発売されています。ゲームの中身より、ゲームの外側のほうが忙しい。
難しすぎた理由
このゲーム、当時から「難しい」で有名でした。ファミリーコンピュータMagazineの読者投票「ゲーム通信簿」では18.48点/30点。2018年の書籍『死ぬ前にクリアしたい200の無理ゲー』にも、堂々と掲載されています。
理由ははっきりしています。
・敵は3種類も出てくるのに、回避手段がコショウしかない ・ジャンプができない ・レバー(十字キー)の先行入力がないので、ハシゴの手前で引っかかる
3つ目が地味に効きます。パックマンなら曲がりたい方向を先に入れておけば勝手に曲がってくれる。バーガータイムはそれをやってくれない。だから「行けるはずだった」場所で捕まる。
一方で、敵のアルゴリズムには個性がありません。3種類とも、ひたすらプレイヤーを直線的に追いかけ、ハシゴがあれば高さを合わせに来るだけ。だからこそ、一箇所に固めて具材で一網打尽にする誘導パターンが成立します。理不尽なのに、理詰めで崩せる。それがこのゲームの妙味でした。
40年、続いている
1982年のアーケードから、いまも血統は途切れていません。
・1988年 ディスクシステム版(データイースト) ・1990年 アーケード『スーパーバーガータイム』(家庭用移植なし) ・1991年 ゲームボーイ『バーガータイムデラックス』 ・2019年 Switch『バーガータイムパーティー』
『バーガータイムデラックス』は2023年3月16日、ゲームボーイ Nintendo Classicsに収録されました。遊べます。
ただし——ファミコン版そのものは、いまも公式には復刻されていません。Switch Onlineにも入っていない。クラシックミニFCにも入っていない。「アーケードアーカイブス バーガータイム」(2020年7月30日配信)で遊べるのは1982年のアーケード版で、ファミコン版とは別物です。
あの4,500円のカセットで遊びたければ、今も実機か互換機かエミュしかありません。
データで見るバーガータイム
・発売日:1985年11月27日(水) ・発売元:ナムコ/原作:データイースト ・定価:4,500円(当時は消費税なし) ・型番:NBT-4500 ・プレイ人数:1〜2人(同時ではなく交互) ・中古相場:裸で500〜1,200円、完品は7,000円〜 ・レア度:★3/5(裸は安い。紙箱と説明書が揃うと一気に跳ねる二極化型) ・北米版:BurgerTime(Bally Midway) ・ファミ通クロスレビュー:創刊前のため該当なし
『バーガータイム』はいま遊べる?(Switch Online・中古相場)
- ファミコン版そのものは公式復刻なし(Switch Online・クラシックミニFCともに未収録)。実機・互換機・エミュが基本。
- ゲームボーイ版『バーガータイムデラックス』ならNintendo Classicsで配信中(2023年3月16日〜)。
『バーガータイム』の都市伝説・噂(裏取りなし枠)
情報元・参考資料
- 【ゆっくり実況】レトロゲームのハナタレわんぱく堂『【ファミコン】バーガータイム【ゆっくり実況】世界でヒットしたゲーム』
- ぷろぐれっそふぃるむ『ゆっくり解説実況コレクション#79 ファミコン「バーガータイム(ナムコ)」』
- ゲームの館ちゃんねる『【ファミコン】バーガータイム(踏んで作るハンバーガー!?コミカルゲームのトップスター!)』
- ゲーム文化保存研究所
